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星野源さん 高橋芳朗さんと『Family Song』徹底解説 前半戦 星野源のオールナイトニッポン書き起こし

星野源のオールナイトニッポンで2017年8月発売のシングル『Family Song』を解説したりしていた箇所を中心に書き起こしました。このページは8月29日(火)25:00放送分(「Family Song」「肌」「KIDS」解説分の時の放送)です。

「Family Song」解説

星野源(以下、星野)「今夜はですね、今月発売しました僕の最新シングル『Family Song』について生で解説していただいたり、ダラダラとしゃべったり…」

高橋芳朗(以下、高橋)-関連曲をかけならがだべりまくるみたいな…

星野「いいですねー。」

高橋-いいですねー、これがやりたかったんですよ!

星野「これがやりたいですね。6時間ぐらい喋りたいですねー。笑」

高橋-いつも、LINEで曲をやりとりとかしてるじゃないですか。

星野「そうそうそう、そうですね。」

高橋-それをちゃんと顔を突き合わせてやりたかったんです。

星野「それ、いいですね。音楽を持ち寄ってラジカセとかで流しながらしゃべるみたいな…お菓子とか食べながら」
高橋-(源さんの語尾に重なるように)ご飯食べ…お菓子!お菓子のがいいですね!ご飯より。笑

星野「いや、ご飯もいいですけど(笑)。お酒とかね、飲みながら…。いいですよね。じゃあ、まず、『Family Song』を一回聴いてもらうってのはどうでしょうかね。」

高橋-そうですね。かけましょう。

星野「それじゃあ、私、星野源の最新シングル、発売中でございます『Family Song』、どうぞ。」

 

星野「はい、お送りしたのは星野源、最新シングル『Family Song』でした。」

高橋-いや、素晴らしいですね。

星野「ありがとうございます。」

高橋-まだあれですよね、ライブでは演奏してないんですよね?

星野「そうです。」

高橋-スタジオライブという形では?

星野「たとえば、音楽番組は、僕、どんどんやろうと思っていて、それはあるんですけど…」

高橋-どうですか、実際に演奏してみて改めて、こう…気づくことみたいなのってあるもんなんですか?ライブでやってみて…

星野「でも、客前ではやってないんですよね。いわゆる収録番組ってお客さんいないことが多いんで、ミュージックステーションだけでしたね、今回。で、しかも、セットの都合上、お客さんが前にいない状態のセットだったんですよ、僕の時。いろんなパターンがあるんですけど、お客さんが前にいるときもあるし、いないときもあって。
なんで、あんまりライブでやってるって言うよりか、カメラに向かってテレビの前の人に向かってやってるってイメージだったんですけど。」

高橋-何かライブでやることによってまた、ちょっとね、違ってくるんだろうなって曲なのかなって気がしますね。

星野「変わってくるだろうなって気はしますね。なんで、今度の埼玉(9/9,10のLIVE TOUR 2017「Continues」さいたま追加公演のこと)ではやるので、それがちょっと楽しみですね。どんな感じになるのかっていうのが。」

高橋-期待しています。

星野「ありがとうございますー。今日は『Family Song』の話をしながら、何かいろいろ曲を聴いたりしていこうという…」

高橋-やっていきましょうか。はい。
最初に『Family Song』と一緒に聞きたい曲として紹介したいのがですね、Al Greenの『Let's Stay Together』っていう1971年の曲なんですけど。

星野「最高ですね。」

高橋-いいですよね。

星野「最高です。」

高橋-『Family Song』を気に入った人にオススメしたいソウルミュージックとしては結構、僕、これが真っ先に思い浮かんだと言うか。

星野「あ、そうですか。へぇー。」

高橋-星野さんも、モチーフの1つとしてAl Greenとか、Marvin Gayeとか名前、出てましたよね。

星野「そうですね。そうですね。」

高橋-ほっこりあったかいソウルミュージックというか、そういう感じだと思うんですけど。Al Greenって主に1970年代に活躍したソウルシンガーで。たとえばMarvin Gayeって人とか、Barry Whiteっていう人みたいに、結構、ロマンティックなソウルミュージックの代名詞な人ですかね。

星野「『Let's Stay Together』も、もうホント甘い…」

高橋-結構、向こうでは"baby making music"って言われるんですよ。

星野「あっ!子作り!!」

高橋-子作り音楽!

星野「いいですねー」

高橋-そうなんです。前、Barry Whiteのインタビュー読んだんですけど、Barry Whiteとか、街とか歩いてるとファンから『おい、Barry!お前のせいでまた子供できちゃったよ!』って言われるらしんですよ。

星野「あはは!笑 いいですねー!いい話!!」

高橋-いい話ですよね。

星野「甘い、甘い、っていうか、そんな感じがありますよね。」

高橋-ただ、そんな中でもAl Greenは割と童貞フレンドリーと言うか 。

星野「あーなるほど。」

高橋-Marvin GayeとBarry Whiteはもう…『ビショビショじゃねえか!』みたいな…そういう感じなんですよ。言ってみれば。

星野「あはは!笑 ごめんなさい、今、ちょっとポン出しが…今日は『豚野郎』(番組コーナー名)がないんで、ポン出しの『ビショビショじゃねえか!』ないんで、なんかスミマセン。流したかったんですけど…笑」

高橋-星野さんがさっきおっしゃったように『Let's Stay Together』、Al Greenだったら"一緒にいよう"。Marvin Gayeだと同じ"Let's"でも『Let's get it on』なんですよ。"乗っからしてください"。それに対してAl Greenは『Let's Stay Together』、ちょっとプラトニックな感じで。

>>Apple Music Let's get it on - Marvin Gaye

 

星野「いいですね。そうですね。ちょっと人生も壮絶じゃないですか、Al Green。でも、そのプラトニック感も、その後の職業、いわゆる音楽家じゃなくなった後も…」

高橋-牧師というか…ね。

星野「牧師になって…みたいな。そういうところも含めて、性格が出ている感じがありますよね。」

高橋-はい。じゃあ早速、聴いてみましょうか。Al Greenで『Let's Stay Together』です。

 

>>Apple Music Let's Stay Together - Al Green

 

星野「はい、お送りしているのはAl Greenの『Let's Stay Together』です。」

高橋-この時間帯に聴くと、また、たまらないものがありますね。

星野「最高ですね。この感じ、最高!!」

高橋-いいですね。

星野「曲聴きながら、ただ喋る」

高橋-あはは(笑)

星野「いいわー。」

高橋-アメリカのソウルミュージックって地域ごとに特色があって。Al Greenってのはアメリカの南部のソウルミュージックで。割と、都市部の、たとえば、北部デトロイトとかシカゴとかニューヨークとかに比べると、アメリカ南部のソウル・ミュージックっていうのは割とシンプルで、朴訥で、ちょっと泥臭い…洗練されきっていないところがあるんですけど。Al Greenのサウンドとかまさにその極みみたいなところがあると思うんですけど。
こんなシンプルな素朴な音を星野さんがシングルの表題曲として、ドラマの主題歌として、J-POPとして、落としこもうとしてた、モチーフとしてあったというのがまず、結構、僕、衝撃だったんですけど。

星野「しかも、この曲が1番好きなんです、僕。で、『Let's Stay Together』は『YELLOW DANCER』(星野源さん2015年12月発売の4枚目のアルバム)くらいの頃にブームがまた来て、よく聴いてたんですけど、その感じは『YELLOW DANCER』には何となく入らなかったんです。今になってもう1回来たというのもありつつ。

>>iTunes YELLOW DANCER - 星野源

 

この曲ってすごいドライなんですね。響いてないんですよね。響いてなさも含め好きで。その"ドットトタットトドトトタッ"って言うのが。"ドットトタットト"の"ドットト"は多分コンガのを広い方を鳴らさないでやってると思うんですけど。もしくは、ジャンベみたいなのをやってるか…楽器は定かではないんですけど、その感じも含め。
あと、この曲ってことを意識してたわけじゃなくて…シンバルを入れてないって話はよくしてて、『Family Song』で。(『Family Song』に)ライドシンバルとクラッシュシンバルを入れてない。
この曲って改めて聞いたんですけど、ライドはイントロで"ちーんちんちんちん"て入ってるんですよ。で、クラッシュシンバルは真ん中に1回だけ入るんですよ。それ以外全部入んなくて。その感じもすごく好きだし、響いていかない感じというか、こう発散しない感じというか、全部タイトルとおりですけど、ステイしていく感じというか…で、何かその感じが、ずっとそばにいるみたいな感じが音的にもするし。
そういうのも含めて、僕はこの曲を再現しようとして『Family Song』を作ったわけじゃなくて、ソウルミュージックの中にあるシンバルがなっていないイメージってものを、掬い出して入れたいなと思っていて。で、その中に漠然とAl Greenとか…シンバルが入っている曲、もちろんいっぱいあるんですけど、その中でも入ってない感じのを何となくイメージしながら、曲を作ろうと思ってて。

で、楽曲をレコーディングする前に、そのアレンジの作業してる時にああやってください、こうやってくださいっていった時にはAl Greenて言わないんです。するとすぐイメージができちゃうじゃないですか。
そうじゃなくてミュージシャンの中で日本人として出てきて欲しいので…なんて言うか…マネしたくないので…ミュージシャンにはモチーフ先は言わないように…」

高橋-ワード言っちゃうと、そうですもんね、それっぽく叩いちゃいます。

星野「そうなんです。誰々のあの曲とか言わないようにしてるし、自分もあんまりそう思わないようにしてる。その中でドラムのカースケさん(河村"カースケ"智康さん)が大サビのところで、僕は違うビートをお願いしてたんですけど、たまたまやったビートが"ドットトタットトドトトタッ"だったんです。これやったあとに『これ、Al Greenみたいだね』って言ったんですよ、カースケさんが。」

高橋-おー!

星野「しめしめみたいな。『キター!!』みたいな。」

高橋-すごいっすね、それも。ミラクルだ…

星野「そういうのがあって、それ、採用でみたいな。そういうのもあって。そういうのはすごい楽しいですよね。

とにかく響かせないようにってのも僕は迷ってて。響かせたくない、ヴィンテージエフェクトで「ファー」みたいなのにしたくないってのもあったんだけど、でも、そういうのをしないと、この感じ、ソウルな感じで出せないんじゃないかなって危惧があって。でも、それの中で渡邊省二郎さんというエンジニアの方が『これ、響かせたくないんだよね』って言ってくれて。あ、それで。でも、そのチャレンジってすげー難しいと思うんだけど、やってみようって、『Family Song』のあの響き感じができたという感じなんです。」

高橋-皆さん、じゃあそのコンセプトを割とすぐ察知したというか…

星野「そうですね、ソウルの感じをエフェクトに頼らないでやりやりたいんだみたいな話はしてたので。記号で真似したくないって言う話は・・・ウッドブロックとか使って2・4(2拍目と4拍目)でポンポンとか入れたくないんだみたいな話はしてたので。
あと、そういうの、もう慣れてるメンバーなんで。『YELLOW DANCER』のときは、ずっとそれやってたから。同じメンバーなんで。ツーカーというか、すぐ解ってくれるっていう本当に素晴らしいバンドメンバーと一緒にこれができて良かったですね。」

高橋-確かに、これ、J-POPとか聞き慣れてる人からしたらこのパーカッション、Al Greenのってちょっとくぐもってるというか、チューニングが緩いと言うか・・・何かすっきりしない感じがするんじゃないかなって気はするんですけどね。

星野「でも、僕にとってはすっごいタイトに聴こえるんですよね。そのタイトな感じってのをどうしても伝えたいというか…ダラダラやってるわけじゃないんだっていう。太鼓ってあの音には絶対にならないんですよね、普通に叩いたら。すっっっごいミュートして、いろんなものを貼って音を止めないと、ああいう音にはならないので、そう作ってるんですよね。それは意図的にやってるわけであって、そういう環境で適当になったわけではないっていうことなんですよね。それを今の環境で一から作りたいっていうのがすごくありました。」

高橋-うん…。次の曲行きますか。

星野「あはは(笑)、はい。」

高橋-この調子で話が進むと大変なことになりますよ。

星野「これはどうしよう。これは大変ですよ。もう既に大変なことに?」

高橋-大変なことになってますか?大丈夫ですか?

星野「一回CM挟みましょうか。CMどうぞ笑」

高橋-あはは(笑)
星野「あはは(笑)」

 

(CM明け)

星野「改めまして、星野源のオールナイトニッポンです。今夜はゲストに来ていただいております。音楽ジャーナリストの高橋芳朗さんです。」

高橋-こんばんは、よろしくお願いします。

星野「今日は芳朗さんといっしょに星野源のニューシングル『Family Song』について語るというスペシャルなんですが・・・もう1時台のCMは全部行ったんで、あとは心置きなく喋れるんすが、この感じで行くと『イントロクソやべえ』(番組コーナー名)をやろうと思ったのですが、できなそうです!すみません、近々来てください。」

高橋-4曲選んだんで・・・

星野「そうなんですよ。なんで、来週とか・・・あはは(笑)、来月とか・・・近々よろしくお願いいたします。」

高橋-ホントですか?全然来ますので。

星野「リアクション、来ております。」

(メールを読む。)

星野「ありがとうございます!」

高橋-星野さんはインタビューとかで結構ヒントをいっぱい出してくださるから、ルーツを追いやすい人だと思うんですけどね。

星野「そうですね、今回は特に言った方が楽しいだろうなぁとは…。解説ってどうしても手前味噌な感じがしちゃうので、自分で言うのはどうしても恥ずかしい・・・恥ずかしいっていうか、気が引けるっていうか・・・『なんかなー』って言うのはあるんですけど、でも今回は、特にこの曲は、あと、このシングル全体は言った方がいろいろ良いだろうなと言うか・・・・・・どっかで話したな、何だっけな・・・音楽はアップテンポの曲とバラードの間が本当はもっとあるんですよって話*とかも含めて、そうゆう耳を拡張させるというか・・・せっかくラジオやってるから、曲をかけたりもできるしっていうのも含めて、話した方が良いだろなと思ってという感じですね。はい。」

*アップテンポとバラードの間の話

高橋-言っていきましょうか。

星野「そうですよね。『Family Song』でまだ2曲あるんですよね。」

高橋-『Family Song』のサウンド面にスポットを当てたんですけど、今度は歌詞というか、メッセージ面にフォーカスしてみたいと思います。紹介したいのはですね、アメリカのヒップホップホップアーティストでMACKLEMORE & RYAN LEWISっていう白人のヒップホップデュオですね。『SAME LOVE』っていう曲、2012年の作品です。
これ、LGBT・・・同性愛だったり、同性婚に理解を求めるメッセージソングで、タイトルの『SAME LOVE』にもあるようにですね、どんな愛も等しく尊いものであると言うメッセージを歌ってるんです。だから、星野さんの『恋』だったり、今回の『Family Song』とかにも通底するメッセージを持った曲といえると思います。じゃあ、聴いてください。MACKLEMORE & RYAN LEWISで『SAME LOVE』です。

 

>>Apple Music Same Love (feat. Mary Lambert) - MACKLEMORE & RYAN LEWIS

 

星野「はい」

高橋-MACKLEMORE & RYAN LEWISで『SAME LOVE』を聴いていただいております。

星野「はい、イントロからいいですねー。」

高橋-いいですね、染みますね。メッセージもそうだし、星野さんのアーティストとしてのスタンスみたいな話にもなるかもしれないんですけど、僕、あの、『Family Song』を通じて、ちょっとした衝撃的な体験があって。それは『Family Song』のウェブに載ってる解説にも書いたんですけど・・・

星野「芳朗さんに書いていただいた星野源公式サイトに載っているヤツですよね。」

>>星野源『Family Song』特設サイト

 

高橋-僕の3歳になる娘が『恋』をきっかけにして星野さんの大ファンになって、『Family Song』のミュージックビデオがリリースされた時に真っ先に見せたんですよ。そしたら、すごい気に入って「星野さんのお母さんのやつ見せてー!」って来るわけですよ。で、こうやって見せてたら、星野さんが女装をして歌っている姿を見て、すごい不思議そうな顔して聞いてくるんですよ。「何で星野さんはこういう女の人の格好をしてるんだ?」って聞いてくるんですね。で、『これ、何て答えればいいんだろう』って思ったんですよ。そこで僕が答えたのは「男の子が女の子の格好してもいいし、女の子が男の子の格好してもいいんだよ」っていうふうに・・・したら、何となく納得して「じゃあ男の子がお化粧しても良いの?」みたいなことを言ったりしてたんですよ。

星野「素敵なやりとりですね。」

高橋-だから、まさか3歳の子どもと、こんなやり取りをおこなうことが、ちょっと思ってもなかったと言うか…めちゃくちゃ衝撃だったんですよ。だから、ちょっと親バカかもしれないですけど、彼女はこれでLGBTの理解の、もしかしたら入り口に立ったのかなと思って…それはすごい僕の中でめっちゃ衝撃で。

星野「それはすごい良かったです。」

高橋-星野さん、今、自分の歌が『恋』のヒットもあって、どういうところまで届くかっていうのは、すごいよくお分かりになってると思うんですよ。でも、前、インタビューした時にお話されてたように、『大衆に向けてレベルを下げる必要がないんだ』っていうふうに言ってましたよね。

星野「そうですね、『恋』のとき、それまでもそうですけど、そういうことは一切してないのに、ものすごい広がり方をしたので…
『大衆に合わせる』みたいな言い方ってあるじゃないですか。それって、いつもレベルを下げるって言い方として使われるんですけど、そんなに大衆ってバカじゃないっていうか・・・センスってものをそれぞれ持っているはずだから。それは自分が『面白れー!』と思ったことを、全力で作った『恋』がバーって広まったんで、それは必要ないんだなってのを改めて思った」

高橋-それが3歳の娘とのやり取りを通じてちょっと実感できたと言うか・・・3歳の子にも表現がシャープだったら、何かしらのフックを与えられるんだなというのをすごい思ったんですよね。

星野「それはよかったです。だから、僕・・・そうですね・・・やっぱり楽しいミュージックビデオを作りたいって言うのがまずあって・・・リズムが伝わる様なっていうのがあったんですけど。あれが何と言うんだろう、面白いものとして受け入れられてるのもあるし、何か楽しいし多幸感があるのはいいと思うんですけど、格好について早く疑問がなくなればいいなと思うんですよね。あれが普通になればいいのに、とすごく思ってて。当時、これは結構衝撃的だったんだよと言える様に早くなって欲しいなと思う。
この『Family Song』も、それを声を大きくして訴えたいってことじゃないんですよね。そういう風に世界を変えていこうじゃなくて、もうそうだっていう事を・・・だからそれを前提に曲を作りたいなと思ったんです。これがスタンダードで、今の時代の家族の歌だし。それを変えようというふうに訴えていくんじゃなくて、それはすでにいろんな家族の形があって、同性の両親とか、そこに子供がいるということも普通になってくるだろうし。家族がいない人に向けて・・・で、あと一人暮らししてる人もそうだし…。でも、友達とか、あとペットとか…動物とかもそうだし。そういうのも含め。

あと、ラジオでも言いましたけど、血が繋がってるからといって家族って思わなくてもいいとも僕は思ってて。本当に愛がある人を家族だと思えばいいと思うんですよね。だから、それも含めて今の価値観を内包した曲を作りたいなぁと思って。そうじゃないと、その時だけの曲になっちゃうので。ずーっとこの先、家族の歌にしたいなぁとは思うので。だから、そういうのも届いたって言うか・・・エッジを効かせてるつもりはないんですけれど、全然。エッジはなるべく削ぎ落としたいんですけど(笑)。そういうのも引っかかってくれる。エッジを出したつもりはないんだけど引っかかってくれるっていうのはすごく嬉しいし良かったなと思いました、改めて。」

高橋-あと、星野さん、これからの歌とも言ってたじゃないですか。本当に、これからの歌なんだと思いましたね。彼女、3歳の子とかが未来ではこれがスタンダードになるんだっていう意味で、本当にこれからの歌だなと思いますね。教えることができたなっていう…

星野「芳朗さんの答えが一番いいですよね。『男の子が女の子の格好してもいいし、女の子が男の子の格好しても良いんだよ』っていうのは、本当にそれだと思います。」

高橋-本当に自分で衝撃的であり、ちょっと感動的な体験だったので、本当にありがとうございます。

星野「いや、こちらこそ、いいお話をありがとうございました。」

高橋-『星野め!』とも思いましたけどね 笑

星野「なんで!?(笑) あはは 笑」

高橋-あはは 笑

星野「ライムスターの皆さんがこぞって言う名台詞…」

高橋-星野め!笑
星野「あはは笑」

高橋-うちの娘に!笑

星野「さっきもね、ちょっとCM中にお話してましたけども、『YELLOW DANCER』をリリースした頃に(ライムスター)宇多丸さんに『星野め!』って言われたことが、ニューアルバムの構想があってっつて。『先にやりがって!』みたいな…『星野め!』って言ってた理由がこれからニューアルバム(2017年9月6日発売「ダンサブル」)が出るんですけど、非常によく分かったっていう 笑」

高橋-ライムスターは本当にブラックミュージックをどう日本音楽として落とし込んでいくかに腐心してきたグループなので…

星野「そうですね。ニューアルバム、聞いてくださいね、皆さんね。」

>>Apple Music ダンサブル - RHYMESTER

 

高橋-そんなとこですね。星野さんも1曲ね、選んでるんですよね。

星野「すみませんね・・・これは・・・」

高橋-「これはやばいことになってますね。

星野「やばいぜー。でも楽しいな。」

高橋-めっちゃ楽しい非常に楽しいです。

星野「音楽かけながらね・・・。あ、今の『SAME LOVE』って曲も和訳とかも絶対ネットに転がってるんで…」

個人的オススメ和訳
>>およげ!対訳くん Same Love

 

高橋-ググれば、一発で出てきます。

星野「あ、あとLogicのあのいつまで経っても覚えられない電話番号のヤツ…」

*Logic『1-800-273-8255』

高橋-はいはい、あれ、覚えにくいですね(笑)

星野「新曲ってか、ちょっと前ですけど。Logicのミュージックビデオがこの間リリースされて。あれはぜひ見ていただきたいですね。あれはその今の話の連なりにあるので…」

高橋-そうですね。Logicの『Everybody』ってアルバムに…

星野「その中に入ってる数字が並んでる曲があるんですけども、ぜひYouTubeとかで見てみてください。」

 

>>Apple Music Everybody - Logic

 

星野「えーっとですね…僕が、さっきちょっと芳朗さんとやり取りしてて『何かないっすか』みたいな。あはは(笑)」

高橋-星野さんが60年代末から70年代初頭のソウルミュージックにインスパイアされましたみたいなことを、いろんなインタビューで話してるじゃないですか。その辺で何か星野さんに1曲選んで頂けたらファンの人も嬉しいだろうなぁと思って。

星野「でも、これ、ごめんなさい、これは何年なのか分かんないですよ、今からかける曲。」

高橋-74,5年かなぁ…

星野「これ、僕がすごい好きなんですけど。もうクラシック中のクラシック。Jackson Sistersという人たちがいて・・・Michael Jacksonとは全く関係のない(笑)あはは(笑)、全く関係がないけど、みたいなサウンドでね(笑)。でも、楽曲が良いからってことで、名盤とされている…その中で『Miracles』って曲があって、その曲なんですけど。僕、楽曲作る時にいっつも気づいて欲しいと言うところがいっぱいあるんですけど…『ここ、これだよね!』って言ってほしいところとか、あるわけですよ。でも、ほとんどの人がそれを気づいてくれないです。今まで。本当に気づいてくれない!!!』

高橋-あはは(笑) 手を胸に当てて・・・笑

星野「そう…本当に気づいてくれなくて。例えば、映画でもオマージュってあるじゃないですか。オマージュとかパロディーって気づくじゃないですか、みんな。あそこあれだよねって。音楽もそれがあって絶対いいと思ってて。それっていろんな音楽に繋がる要素にもなると思うし、遊び心だし、リスペクトとしての最大の表現でもあるし・・・だからいつも入れるんだけど、全然反応してくれなくて…誰も。誰もわかってくれないんです!」

高橋-あはは(笑)すいません、本当に。

星野「『Friend Ship』っていう曲の間奏の部分のドラムソロが(SAKEROCK)『慰安旅行』と一緒ですとか、そういうの全然気づいてくれないんですよ、みんな」

 

>>タワーレコードオンライン SAKEROCKの季節 BEST2000‐2013
「慰安旅行」試聴可

 

高橋-あー…耳が痛い…

星野「いいんです、いいんです。でも。その中でたまに気付いてくれたりすると嬉しいんですけど、これは誰も言ってくれなくて寂しいなってところを1個だけ。」

高橋-これ、僕、ちょっと衝撃的でした。

星野「で 『Family Song』で…あ、1回、Jackson Sisters聴いてみますかね。『Miracles』です。どうぞ。」

>>Apple Music Miracles - Jackson Sisters

 

星野「はい、お送りしているのは、名曲中の名曲 Jackson Sisters『Miracles』ですが…これ、さっき、年代聞いたらアルバムが76年で、シングルが73年だということで。僕、その年代は全然意識しなかったんです、この曲に関しては。で、何を込めたかって言うと"キメ"なんですけど…キメが『Family Song』でも全く同じなんですよ、キメの数が。これって『Miracles』しかないと思うんです、多分、このキメの数って。それがサビに入る前に来るんで…イントロにも来るんで。でも、全然気づいてくんねーの。笑」

高橋-笑

星野「これをね、自分で言うのってダサいの。 だっせーの。」

高橋-まぁそうですよ。言いたくないですよね。

星野「でも、芳朗さんに『何かありますか?』って言われたから、じゃあこれをという感じで…。でも、これをきっかけに何かいろいろ、そういうのって気づいてもらえたらいいなと…。それって別にパクリじゃなくて、それってオマージュだったり、音楽の楽しみの1つでもあると思うんです。だから、そういうのをパクリとかって言う風潮が僕、あんまり好きじゃなくって。音楽をすごく狭めてるし…映画の世界ではあんなに良きものとしてみんな扱ってるオマージュの場面が…全く同じで構図で同じ人の出方でっていうところをやっても褒められるのに、音楽ではなぜそれができないのかっていうのもあるし…それもあって…全く違うものになってるという自信もあるんですけど。」

高橋-そうですよね。

星野「だから気づかないのはしょうがないんですけど。笑」
高橋-あはは(笑)

星野「でも、そういうのは個人的な楽しみでもあり、でも、俺だったら気づくっていうのは何かあって…なんで、それをちょっともう一回『Family Song』をいろいろさっきの…」

高橋-今までの諸々踏まえて…

星野「歌詞も含めて、『Let's Stay Together』も含め、聴いていただきましょう。星野源で『Family Song』」

 

星野「お送りしているのは星野源『Family Song』です。芳朗さんが悔しいって…笑」

高橋-くやしー!ちくしょー!!

星野「いいキメなんですよ。ねぇ…」

(メールを読む。LGBT当事者の方から『SAME LOVE』についてメール。)

高橋-本当に素敵な歌詞なんで是非チェックしてください。

星野「ぜひぜひ。これはもう、聞いて損はないというかね、買って損はないですからね。ありがとうございます。」

(メールを読む。昔の音楽についてどんな風に知っていたのか。)

高橋-僕、ソウルミュージックに関しては元々ロックが好きで…まさに、さっきの話じゃないですけど、ソウルミュージックのエロいところというか、ちょっと大人っぽい感じのところがダメだったんですよね。例えばBeatlesだったら『I wanna hold your hand』じゃないですか、"手を握りたい"。プラトニックな…童貞フレンドリーな感じじゃないですか。

 

でも、Marvin Gaye、いきなり『Let's get it on』、"やらしてください"みたいな感じじゃないですか。それがちょっとなかなか受け付けられなかった、受け付けなかったんですけども…歳を重ねるにつれて、味が分かってきたってのもあるし…あと、そのシンプルさですね。やっぱり、ガキンチョだとそのシンプルだところの味わいみたいなところが理解できなかった。やっぱり、回数聞いてって音の核にあるものが見えていったって感じですかね。」

星野「アーティスト聞いて、そっから繋がるみたいなのもありました?」

高橋-そうですね。星野さんも『Family Song』のインタビューでにインスパイヤー源として話してましたけど、Hall&OatesとかStyle Councilとか…ロックのミュージシャンがソウルを表現しているものぐらいのソウルが好きだったので…そうですね。その影響源のものを掘り下げてって聞いたりって感じですかね。」

星野「僕も細野さんがそういう方というか、本当にいろんな音楽をつなげる方というか、伝道師っていうか…。細野さん自身も大きな音楽っていうの流れの中に自分の音楽が一滴あるだけでいいんだって言い方をされてますけど、何かそういう感じで広がって、僕も、いきましたね。人ですね。どうしても。調べてったというか、僕は自然とその人を聴いてたら広がっていったっていう感じですね。」

高橋-ルーツを見せてくれるアーティストは楽しいですね。

星野「そうですね。今日も楽しい…。この後も引き続き。次は『肌』カップリングの『肌』を送りしたいと思います。」

 

(CM明け)

星野「星野源のオールナイトニッポン、改めまして今夜のゲスト、ご紹介しましょう、音楽ジャーナリストの高橋芳朗さんです。」

高橋-こんばんは、よろしくお願いいたします!

星野「『Family Song』の話をね、していたら、『Family Song』だけで1時間いってしまいました。しまった。笑」

高橋-あはは(笑)まさかここまで。

星野「まさか。笑 盛り上がるとはっていうね、メール来てます。今のキメのお話ですが、Jackson Sistersのキメが『Family Song』に実はあるんですよって話ですね。
"『SUN』最初にも同じリズムのがありますよね。そこも意識されて作られたんでしょうか?"
これが違うよ!!SUNのキメは 違 う よ ! ! !(机を叩きながら)
これはね、SUNのキメはこうです。」

 

高橋-怖い怖い怖い(笑)

星野「Jackson Sistersはこうです!」

高橋--怖い怖い怖い(笑)

星野「全然違うんです!でも、『SUN』を作るときも、ちゃんとJackson Sistersにならない様にって考えて作りました。」

高橋-ああ、なるほど。ちょっと頭をよぎったわけですね。

星野「『したい!』と思ったけど、『まんま過ぎる!』と思って…笑 このテンポに同じキメをつけるとそれはクリエイティブではないと思ったので。でも『Family Song』に入れるっていうのはクリエイティブな感じがするっていうか、ちゃんと自分のフィルターを通したことになる気がすると…」

高橋-まぁ気づかないですもんね。笑

星野「本当に気づいてくれないんですよ。笑 なんで、『SUN』はまた全然違いますね。」

高橋-『SUN』はまた違うってことですねー。

星野「 そうなんです。じゃあ『Family Song』の解説してきましたが、カップリング曲『肌』。ねー。解説していきたいということで。聴いてみますかね、『肌』をね。聴いて下さい、カップリング曲です。星野源『肌』。」

『Family Song』カップリング曲「肌」の解説

>>iTunes 肌 - 星野源

 

星野「お送りしているのは、私、星野源の『肌』でございます。」

高橋-これは結構、聴くほどに味が増していく曲ですね。スルメ曲ですね。

星野「ありがとうございます。」

高橋-素晴らしいです。

星野「これもあれですね、ネオソウルっていうものを、もう1回、自分のフィルターを通してもやりたいなと…その第1弾が『Snow Men』でしたけれども。」

 

高橋-星野さんにインタビューさせて頂いた時、星野さんが「ネオソウル的なイメージで、何かで聴いてずっとこういうリズムをやってみたかった。」ってお話されてたんですよ。僕、何だろうって思って。ずっと気づかなくて、分かんなくて、悶々としてたんです。」

星野「もうね、気づいてくれないんですよ。笑 だから、ホントその時も言いたいんだけど、気づいてほしいから言わなかったんです。」

高橋-で、この間、「これだー!!!」と…

星野「あははは(笑)、気づいてくれましたか!」

高橋-灯台下暗しとはこのことかと思いましたね。

星野「いや、本当にいないんです…笑」

高橋-この指摘は今まであまりいないんですか?

星野「いや、ないです、ないです。全然。こういうふうに言うと、前から知ってるだろみたいな人、前から俺は気づいてたよって人出てくるんでしょうね。笑」

高橋-聴いちゃいましょうか。早速。

星野「じゃあ…そうそう…でも、リズムだけですね。リズムだけが、もう好きで好きで。だから、このビートをだからやりたいっていう気持ちがあって。でも、同じにならないようにというか、ちゃんと自分の曲として…このビートがテレビでCMから流れて来てほしいって思ったんです。」

高橋-そう考えるとヤバいです。

星野「でも、これからかける人は絶対流れない 笑」

高橋-(笑)これ、流したらアカン!って感じですよ。

星野「そうなんです。」

高橋-でも、これは気づかないですよ。本当に。これは…

星野「よかった。だから成功ではあるんです。気づいてほしいみたいなところもあるんですけど、でも、気付かれてもらえないのは成功ですね。」

高橋-これで、ちょっとJackson Sistersの屈辱を晴らすべく…

星野「あはは(笑)、今日、間に合いましたもんね。」

高橋-今日、電話して「星野さん、ひょっとしてこれですか?」『これです!』みたいな…

星野「聴いてみましょうかね。」

高橋-D'Angeloで『Spanish Joint』です。

>>Apple Music Spanish Joint - D'Angelo

 

高橋-はい、D'Angeloで『Spanish Joint』、2000年の作品を聴いていただきました。

星野「かっけー!!」

高橋-これが『ビオレu』のCMに使われていたら、ちょっとびっくりしますね。笑

星野「『ビオレu』、使ってますか?皆さん、ぜひ使ってくださいね、本当に。」

高橋-どうですか、皆さん、聴いてみて…『肌』だなって感じありますか?…やっぱり首かしげてますね。笑

星野「全然ない!玄ちゃん(石井玄ディレクター)は全然ないそうです(笑)」

高橋-やっぱり、だからYELLOW MUSICになってるんだと思います。

星野「嬉しいです、すごく嬉しいです。こういう同じリズムでも、リムショットを"カッ"ってやるみたいなのは、多分やっちゃダメなんですよね。あと、それっぽい歌い方しても、絶対ダメなんです(笑)。 それはただのマネっ子なんで。そうじゃなくてちゃんと…あと、CMってテレビとかから流れてきたら面白いけど、ちゃんとそこのCMにも誠実じゃないといけないと思うので…歌詞の内容も含めて。で、あと『肌』っていうタイトルも『ビオレu』っていう商品もそうだし…
タイアップって皆、割と嫌うけど、僕はヒントをもらえるし、むしろ『そこで遊べる!』『楽しい!』みたいなほうが強いので…今回も楽しいですよね、あれがテレビから流れてくるのは…」

高橋-ワクワクしますよね。

星野「『やべー!』みたいな…そういうのも含めて楽しいし。
『肌』っていうのも直訳すると"Skin"ですから、R&B的にも最高っていうのもあるし…。」

高橋-でも、星野さん、『Snow Men』の時は結構、苦労されてたような感じがしましたけども、話聞いてて。でも、この『肌』に関しては割とすんなり作れたみたいな…

星野「そうですね。そうですね。『Snow Men』の時は一番最初のチャレンジってこともあったんで、それがどう評価をもらえるかも分かんなかったし、自分で達成感があるのかどうかも分かんなかったので、だから…今回は割とすぐ、『あ、これ』って感じがありましたね。」

高橋-ネオソウル的なものをJ-POPに落とし込む星野さんなりの何かメソッドとかセオリーみたいなのができあがったんですかね?

星野「いや、どうなんでしょう。自分では方程式みたいなのは、もちろんないんですけど…念?笑…念力でやってくみたいなことだと思うんですけど…だから、それの筋肉がついたのかもしれないですね、念力の筋肉が。」

高橋-あと、「Continues」のツアーではどういうアレンジになってるか分かんないですけど、「YELLOW PACIFIC」(2017年1月、2日間パシフィコ横浜でおこなわれたライブ)で『雨音』を聴いた時も素晴らしいアレンジだなと思って。あれもネオソウルの流れを汲んだアレンジじゃないですか。だから何かを掴んだのかなという感じがすごいしたんですよ。

星野「そうですね。あれもすんなりって感じでした。元曲の中に入ってるエッセンスを割とそのままバンドから表現したら、あの感じになるって感じでしたね。」

高橋-あれ、ちょっとスタジオバージョンとかで聴きたい感じでもあります。すごい好きです。

星野「ちょっと考えてみます。(笑) ありがとうございます。」

高橋-星野源ファンにとってもD'Angeloのこの曲入ってる『Voodoo』ってアルバムはマスト…

星野「いや、聴いてくれてないと思いますけど、あんまり(笑)。 聴いてはほしいですね、だから…聴いてはほしいっていうか、聴いてもらえたら最高ですよね。皆、聴いたらいいのにとは思いますけど…」

高橋-必ずしもフレンドリーな音楽ではないかもしれないですけど、でも、この良さがわかったら一気に視野が広がると言うか、いろんなところにバシバシっと繋がると思うので。頑張って『肌』と並べて、『Snow Men』とかと並べて、D'Angelo聴いたりしたら結構楽しいかなと…

星野「『いやー!』みたいな感じありますよね。どこの曲にも『あー!ヤベー!!』って瞬間があるアルバムですね(笑)。 すごいアルバムですよね。是非聴いてみてくださいね、と言うことで…じゃあね、次の曲に入った方がいいですかね。『プリン』にね。じゃあ、その前に一旦CMに行きましょう。」

>>Apple Music Voodoo - D'Angelo

 

(CM明け)

『Family Song』カップリング曲「プリン」解説

星野「さあ、星野源のオールナイトニッポン、今夜は音楽ジャーナリストの高橋芳朗さんと、星野源のニューシングル『Family Song』全曲徹底解説させて頂いております。よろしくお願いします。」

高橋-よろしくお願いいたします。

星野「さあ、続いて『プリン』という曲ですね。3曲目。『プリン』をこの番組で流すのは初めてですね。聴きますか、まずね。じゃあ、星野源『プリン』、どうぞ!」

>>iTunes プリン - 星野源

 

星野「はい(笑)、お送りしているのは星野源の『プリン』でございます。これをラジオで流したかった!ドキドキする、やっぱり、玄ちゃん?」

高橋-放送事故になりかねませんから…

星野「でも、秒数的には全然大丈夫。ラジオって長いんですよ、無音でも、15秒ぐらいね。全然大丈夫。だからラジオでもどんどん流してください(笑)。 でも、今、曲を操作してるはずのAD淫乱くまさん(三浦憲高さん)が無くなった時にカッてこっち見てましたね(笑)。ビクッとして…(笑)ラジオマンとしてはビックリするね、間がね。
はい、で、この曲は、去年の春ぐらいにレコーディングしてた曲で。次のシングルのリリースは決まってなかったんですよ。決まってない時期にも次の曲なんか作りたいみたいな時期があって、その中に『Continues』とか『Drinking Dance』とか(ともにシングル「恋」収録)、いろいろあって、その中の1曲で『プリン』ってのがあったんですけど。これはPrinceを…初期のPrinceを…今ね、いろいろ『YELLOW MUSIC』って言ってるけども…『YELLOW MUSIC』っていう大事な…本当に自分のコンセプトとして大事な、ちゃんと自分のフィルターを通して日本人として音楽をやるっていうのを、とりあえず脇において『学生みたいに、真似して遊ぼう』みたいな…『なんかに似てねぇ?キャハハ』みたいなことをしたいなっていう…リリースの予定もなかったんで、遊んじゃえみたいな…とりあえず楽しもうみたいな感じで、Princeの初期の曲の日本語バージョンみたいのをやりたいと思って作った曲なんですよ。
それでレコーディングした2週間後にPrinceが死んじゃって。それは本当に予想外だったし、すごくショックだったんですけど。だから、そういうのもあって…実際ふざけてる曲ではあるので。さっきの間の間奏の無音とかもそうですけど、結構ふざけてるから、今、出しちゃダメだなぁとは思って。でも、1年経ったんで、そろそろ良いかなということで入れたという感じですね…そんな曲です。」

>>iTunes 恋 - EP 星野源
(『Continues』,『Drinking Dance』,前述『雨音』も収録)

 

高橋-この『プリン』にも合わせてちょっと選曲してきた訳ですけれども。星野さんが本当にPrinceで遊びたいって言ってた通り、この曲を聴くと『あ、これは』…

星野「これは、これはわかりやすいですよね。でも、言ってくれる人は1人だけでした。」

高橋-あ、本当ですか。

星野「全然いなかったです。 あはは 笑」

高橋-僕、でも、「Dirty Mind」は言いましたよ!

*後述『Sister』はアルバム「Dirty Mind」収録曲

星野「そうですね 笑」
高橋-…あはは…悔しい!!

星野「あはは(笑)実際、今日ね、芳朗さんからあげていただいた曲は違う曲だった…笑」

高橋-あはは(笑)、そこは気を遣ったんですよ!気を遣ったんです!

星野「本当ですか?笑」

高橋-そうですよ!星野さんがその曲を前、インタビューでお好きだってお話をしてたから、こっちの方が盛り上がるかな?と思って…あえて!あえて!!避けたんです。」

星野「違う曲の方を好きだって言ってたから…その曲も大好きなんですけども…違うんですよ。笑」

高橋-笑
これ、聞いたら結構、衝撃を受けるかもしれないですね。

星野「そのままって言われても別にいいって感じで。むしろ言って、ていう…。『気づいてー!』ってヤツですね。全力で『気づいてー!!』ってヤツなんですけど、1人だけでした。笑 しょうがないです。意外と、そういうふうにやっても、同じにならないなぁというのが正直なところです。」

高橋-まぁそうですねー。そうですよねー。

星野「それにはならないよ、というか…そういう筋肉ないんだなと思いました。僕、"変わる"っていう筋肉なんだなと思いました、自分が。」

高橋-初期のプリンス聞きこんどいたんだけどなー。あはは 笑
星野「あはは(笑) じゃあ聴いてみましょうね。」

高橋-じゃあ、行っちゃいましょう、Princeで『Sister』です。

>>Apple Music Siter - Prince

 

星野「はい、お送りしてるのはPrinceで『Sister』でございます。」

高橋-1983年の、これ、近親相姦がテーマらしいですね。

星野「え、そうなんですか!?そうか、すげーな、Prince、すげーなー。対して僕はプリンを食べたいけど、我慢してる人の歌です(笑)あはは、全然違う 笑」

高橋-まーでも、これ、聴き比べたら面白いですよね。

星野「そうですね(笑)。 この曲聴いたとか、『かっけー』と思って。ここ(ファルセットで歌っているところ)もカッコいいんですけど、終わり方もすげーカッコいい。短いんですよ。(トークの後ろで流れていた曲がちょうど終わる。)これで終わり(笑)」

高橋-星野さん、ホント初期のPrince好きですよね。割と一般的には『Purple Rain』とか『Sign 'O' the Times』とかじゃないですか。

>>Apple Music Purple Rain - Prince
>>Apple Music Sign 'O' the Times - Prince

 

星野「でも、全部好きですけど…。ちょうど、その休養…倒れて休養していた後に『I Wanna Be Your Lover』を聴いて音楽の楽しさを思い出せたという話はよくしてると思うんですけど、その頃に、この曲も聴いてたんですよ。外を散歩しながら『Sister』を聴きながら、こうやって踊りながら…」

 

>>Apple Music I Wanna Be Your Lover - Prince

 

高橋-近親相姦の曲を聴きながら…笑

星野「しまった…歌詞は全く考えておりませんでした(笑)。どうでしたかね、皆さんも聴いてて…『Dirty Mind』はちょっと埋れているアルバムではあるじゃないですか。ジャケット、ヤバいですけどね。」

高橋-デモテープみたいなジャケットですよね。

 

星野「スゴいですよね、裸でね。Princeがほぼ裸でね。それも含めて見ていただきたいけど、『Dirty Mind』」

高橋-他の曲も星野さんの音楽好きだったら、グッと来るというか…『Uptown』とか…

星野「『Uptown』は是非聴いていただきたい。やばいですよ。是非、聴いていただきたいです。こんな感じですかね。あと何かあるかな。」

 

>>Apple Music Dirty Mind - Prince

 

高橋-Princeの本格的なトリビュートと言うかそういうのなんか…表題曲とかで聞きたいですよね。

星野「そうですね…いやでも、本格的なトリビュート、僕じゃないんじゃないですか(笑)。 やるべきは僕じゃない気がします。岡村靖幸さんとか…聴きたいですよね。」

高橋-あ、そうかそうか…

星野「もうすでにやってる感じますよね。そうですね。いやぁ…
今日、いつも僕の番組では楽曲フルでかけるんですけど、ハーフとかさせていただきます。時間がないから、なぜなら(笑)。 あと、1曲あるからね。」

高橋-何とか間に合いそうですかね。

星野「間に合いそうですね。CMですね。次は4曲目『KIDS (House ver.)』です」

 

(CM明け)

好きな人や作品について話すときに気をつけていること

星野「はい、星野源オールナイトニッポン。今夜は高橋芳朗さんをお迎えして『Family Song』の徹底解説ですが…」

高橋-ですが…

星野「ごめん、『KIDS』ができなそうです。すいません。(笑)」

高橋-(笑)
『Family Song』で1時間話したってのが…笑

星野「笑 尺がね、全然見誤って…玄ちゃんも一瞬『KIDS』行けるかってなったんですけど、『ごめんなさい、やっぱ無理です』ってなって……また今度来てください。近々、なるべく。『イントロクソやべえ』もありますし、『KIDS』の解説的なことと、『イントロクソやべえ』…」

高橋-『KIDS』2,3曲選んできます。

星野「そうですね、いいですね。ぜひ、お願いします…たくさんご感想メール届いてます。」

(メールを読む。人に好きなものを伝える時に何かしたり心がけていることは?)

星野「何かありますか?」

高橋-まー、でも、どうですかね…やっぱ、いっぱい音楽聞いて、アーティストのインタビューとかもいっぱい読んで…

星野「そうですね、インタビューとか読むってのもね、語彙が広がる感じがありますよね。
僕がいつも気をつけてるというか、いつも思ってるのは、僕、人のことを褒めたり、『この作品、好きです』って言うことが好きですなんですけど、一番気をつけてるのは『何々より好き』とか『誰々より好き』って絶対に言わないようにしてます。例えば同じアーティストの曲でもシングル曲…僕の曲だったら"『Family Song』より『肌』が好き"って絶対言わないようにしてます。なぜならそれは『Family Song』を好きな人を傷つけてしまうから。で、あと、例えばアーティスト名前がA、Bってあって『Aがすごく世間的には人気だけど、僕はBの方が好き』って絶対言わないようにしてます。思わないし、そんなこと…それ、なんでかって言うと、それを入れてしまうと、それを好きな…この作品とかこのアーティスト、ミュージシャンとかが好きだって話じゃなくて、このアーティストが好きな私の話になるから。自分が好きってことになっちゃう…自分大好きみたいな話に、それ、なるんですよね。それ言ってる人って無意識に自分をアピールしてるんですよ。『世間的にはこれが流行ってるけど、そうじゃない私を見て』ってなってしまってるんで、それは純粋な音楽のトークでは、もう既にないんですよね。」

高橋-自分のポジションの表明みたいなね。

星野「そうなんです。それっていらないんですよね。音楽とか好きなものの話をする時にそれって圧倒的にいらないものだと僕は思ってるので。『これが好きだ』だけで良いんですよね。『何々が人気で、この人が人気ないのが悔しい』みたいな気持ちって分かるんですけど…でも、それってそれを言うことで、もう一つのアーティストを傷つけたり、それを好きな人を不快な気持ちにさせているだけで、それは何の効果もないんですよね。それより『これが好きなんだ』『これが好きなんだ』『これ、すごく良くない?』って言うだけの方がそのアーティストとかや曲が広まるし、『あ、そうなんだ。聞いてみよう。』って思う。だから僕は好きなものを褒めたり、これ好きなんだって話をする時に、『これが好きです』って言うのをなるべく言うようにしてます。僕は高校生の時とかそれこそ、そう言っちゃってたんですよ。『何々の方が良いと思うんだけど』『何々のほうが好き』って言っちゃうじゃないですか。でも、それって今思うと、自分の意見をただ聞いてほしかったんだなってことが、すごく今だと思うので。そういうふうに僕は気をつけてますよ。

高橋-でも、怯まずにガンガン表明してっていいと思いますけどね。

星野「好きなものを好きって言えばいいと思います。照れ隠しって別にいらないと思うし。恥ずかしいことなんて何もないし。バカにする人が恥ずかしいのであって…そうだと思います。では、もうちょっと引き続き、お付き合いいただいて…」

 

(CM明け)

星野「さあ、星野源オールナイトニッポン、エンディングのお時間です。今日のゲストは高橋芳朗さんでした、ありがとうございました。」

高橋-ありがとうございました。めっちゃ楽しかったです!

星野「楽しかったっすね。」

高橋-ちょっと、何かまたやりたいですね。曲を持ち寄って…

星野「ホントに…ホントに、ぜひ。」

(メールを読む)

星野「いやー楽しかった。是非、本当にまた来てください 。…橋P、来る?入る?…あはは!笑」

高橋-お、キタキタキタ!

星野「あはは(笑)、ウッキウキじゃないですか!(笑)」

高橋-ラジオ局の垣根を越えて…

星野「どーも、橋本さんです 。」

橋本吉史(以下、橋本) はい、TBSラジオのプロデューサー、橋本吉史と申します。

星野「あはは(笑)、いいですね。ラジオ局に垣根なんていらないですよね?」

橋本 ええ、ラジオを愛する気持ちは皆さん一緒だと思いますので…

(パチパチパチパチと、拍手)

橋本 星野源さんにも、ヤリーネーム スーパースケベタイムもあると思うんで…そちらのほうでもお世話になりたいと思います。

星野「聞いていただけますか、『Family Song』」

橋本 もちろんです。

星野「ありがとうございます。…急にテンションが落ち着いて…笑」
高橋-あはは(笑)

星野「あなた、さっきまでブースの外でめちゃくちゃはしゃいでたじゃないの!笑」

高橋-(笑)
ちょっと力みすぎてますね(笑)

橋本 力みすぎてますね(笑)
あと、残り時間をものすごく、ラジオマンとして気にしてしまって(笑)

星野「あはは 笑」
高橋-あはは 笑

星野「まだ、あと1分あります。これ、面白いですね。いいですよね、新時代だと思います。相当、いいと思います。いかがでしたか、芳朗さんとのトーク。」

橋本 やっぱり音楽が好き同士で…趣味が合う人たちの楽しそうな音楽トークってだけで、相当な多幸感があると思うんで、これ自体が…

星野「僕も幸せな空間でした。」

高橋-放送していないみたいでした(笑)。

星野「そうですね(笑)、ただただ飲みながら喋ってる感じでした。」

橋本 延々と聴いていたい感じしますね。

星野「また是非来てください、芳朗さん。」

高橋-呼ばれれば、またいつでも来ます。

星野「橋本さんもぜひ来て下さい…」

橋本 ぜひ…

高橋-マネージャーとして…

星野「マネージャーとしてね。
じゃあ、一緒にまた来週って言いましょうね。あと15秒です。それじゃあ、みんな。星野源でした。来週は通常放送ですよ。また聴いてください。そんな感じで星野源のオールナイトニッポン…

星野 高橋 橋本 また来週ー!!!

(パチパチパチパチと、拍手)

 

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